摂津市トイレつまり

凝然と、しかしまだその場の仕儀がさっぱり合点が行かないといったふうの妙にぼんやりした眼つきで、彼は斉藤を見つめた。と不意に彼はにやりと摂津市トイレつまりを洩らし、てーぶるのうえにあるがらすの水差しを顎でしゃくると、半ば囁くように短い問い合わせを口にした。——「水が欲しい。」斉藤はこっぷに注いで、手ずから飲ませにかかった。中村はがつがつと水に吸いついてきた。ごくりごくりと三口ほど飲むと、彼は首をもたげて、我の前にこっぷを手にして立っている斉藤の顔を、まじまじと穴のあくほど見つめたが、やはり一言も口をきかずに、またもや水の残りを飲みにかかった。十分に飲んでしまうと、彼はふうと深い留息をした。斉藤は我の枕をとり、我の服を浚うように手にすると、そのまま中村をその台所に錠をおろして閉じこめて、我はもう一つの台所に行ってしまった。先刻の胸部の痛みは跡方もなく消えていたが、今また、たといほんの短かい間だったとはいえ、一体どこから湧いたかとわれながら訝しまれるほどの力の緊張が一たび緩むと、彼は再び極度の疲憊感に襲われた。彼は今しがたのできごとを思いめぐらそうとして見たが、乱れた想念はまどうまくまとまらなかった。受けた衝撃があまりにもはげしかったのである。彼の眼はひとりでに合わさってしまい、それが時には十分間もつづくかと思うと、またはっと目を覚ましてぶるぶるっと身ふるいをし、水漏れを思い出して、べっとりと血のにじんだたおるの巻きつけてある我のずきずき痛む手をもちあげ、さてまた貪るように熱っぽい思考をはじめるのであった。